母キレる
そしておじさんの別荘に戻った後、前日に一睡もできなかった私は、横になるなり眠りに落ちました。まだ、20時を周ったくらいだったと思います。
その後、夜中くらいだったと思うけど、旦那と母が話しこんでいるのが聴こえて目が覚めたけど、結局起きられず再び意識が落ちました。
朝になって、どうやら昨夜母が、メス犬の子を手放す決心をしたということを旦那から聞かされました。
実家には、昔から犬がたくさんいることが市内では有名だったため、庭に犬を捨てて行く人もいたし、警察署から迷い犬の引き取りを依頼されたことも何度かありました。
そして時々、子犬が生まれてもらい手を探したこともあったし、犬が欲しいとの問い合わせなんかもあり、先日来てくれた消防士さんの中にもそんな一人の人がいたのは書きましたが、ちょうど一週間前にも子犬が欲しいとの問い合わせがあったばかりだったらしいのです。
その時は、まさかこんなことになるとは思っていもいなかったので、今はいませんと断ったらしいのですが、母はその人に聞いてみたらどうだろうと思ったようです。
ただ、その人が希望しているのはオス犬でしかも子犬が希望。犬はメスの上、もう一歳になっており、全く希望には添えないのですが。
そして電話番号をメモした紙も燃え残っているかわからない。
でも、
運命と言うべきか、その紙が燃え残っていたのです。
母が電話をして事情を話すと、とにかくすぐにでも会いに行きますと言ってくれたそうです。
午後にその人が来るので、それまではとにかく燃え跡の後片付けや買い出しをすることにしました。
燃え跡を歩いていると、まる焦げになったおばあちゃんの古い箪笥から母のアルバムを見つけたので、それらを回収しました。
箪笥は端っこの方にあったので、中身はほとんど燃えずにあったものの、ゴミ屋敷でもうだいぶほったらかしになっていたのと、火を消す時の放水の水の影響で、どうしようもなさそうな写真も多かったけど、それでも何枚かは無事だったので、バラして乾かすことにしました。
それからおばあちゃんの形見の着物や帯なんかもとりあえず取り出しました。
庭にある、母の趣味の園芸のために建てられていた大きめのビニールハウスも、火はそこまで来なかったようだけど、ビニールが熱で溶けだして、穴が空いてしまっていました。
母が、それを直して、外の犬の為の犬小屋にしたいと言い出したので、しょうがないと思い、旦那と買い出しに行った時に、300円のブルーシートを買って、それで臨時的に直すことにしました。
しかし、そこでまたしても思いもよらないことが起こりました。
旦那と私が二人でそのブルーシートを使って修繕を始めてすぐに、母がそれを見てキレだしたのです。
「なんでこんなペラッペラの安物のビニールシートを買ってきたんだ!これじゃあ、犬が可哀想だ。たかだか数千円とかできちんとしたものを買えるのに、何考えてるんだ!犬が大事じゃないからだろう!?こんなのでいいやって買ってきたんだろう。」
さすがに私もカチンときて言い返しました。なんて返したかは怒り過ぎてあまり覚えてないけど。
こんな時にまで、お犬様なのか。
本当は、こんなことしてるなら、早く燃え跡の片づけをした方がいいし、たかが数千円だなんて、お金も家もないこんな時に良く言えたもんだ。
でも母は、いっさいひるまず、鬼の形相で「これでいいってどっちが言いだしたんだ?こんな安物買おうってどっちが言いだしたんだ?」と、私と旦那にくってかかってきました。
さすがに私も本当に頭にきていて、それでも譲りませんでした。そしたら、母は暴言を吐いてどこかに去って行きました。
もう、一人だったら確実に、母を見捨てて、住んでいるところに戻っていたかもしれないです。
でも、朝から文句ひとつ言わずに、市役所への手続きやら買い出しやら走り回り、そのうえ自分の仕事のことで会社の人ともやりとりし、一番大変な役を引き受けてくれている旦那が私をなだめました。
「お母さんもたぶん、可愛がっている犬を突然手放すことになって気持ちも荒れているんだろうしさ・・・」
家を燃やして、しかも以前旦那にも噛みついたことのある犬の為の小屋造りなんて、私にとっちゃ正直どうでも良かった。(そもそも、犬小屋自体はちゃんとありますし)
でも、旦那がこらえて作業を進めてくれているので、私も一緒に進めました。
だけど、私も怒りを伴ったままだったので、集中できなくて、ハサミで手を切ってしまいました。
急いでおじさんの家にバンドエイドを探しに行くと、ちょうどまた近くに住んでいるおばさん(母の別の姉)が来ていたところでした。凄い勢いで、おばさんに私と旦那の悪口を言っていたらしく、「そんな事言うもんじゃないよ。みんな一生懸命やってくれてるんだから。」と、あやされていました。
そしてまた私の姿を見つけると、これまた一生忘れられないような形相で私に迫って来ました。
「おい!どっちが言いだしたんだ?ちゃんと答えろ!!」
私も更に怒りで言い返しながらも、今にも殴って来そうになる母とそれをとめてくれているおばさんに、それどころじゃない、手をはさみで切ったと言って振り切りました。
結局、おじさんの別荘にはバンドエイドは見つからなくて、おばさんが急いで自分の家にバンドエイドを取りに行ってくれました。
とりあえず、ティッシュで押さえたけど、血が滲んできました。
母と二人になるのも嫌だったし、旦那を一人で作業させているので、文句を言ってくる母を無視して、旦那の元に戻ることにしました。
そんな私の背中に向かって母は、「ぼさっとしているからだ」と更に暴言を吐いてきました。
もう、親じゃなかったら、とっくに縁を切ってるとつくづく思いました。
こんな人。自分の親だけど、本当に心から思った。
”なにこのひと。頭おかしいわ。”
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