火事のできごとと今から

火事のあれこれの日記

臨時の家が決まる

現場聴取が終わった後、隣にあるおじさんおばさんの別荘の家にみんなで戻りました。しばらく、ここを使わせてもらうことになりました。

そして母は、戻ってきていた犬を抱えて当たり前のようにおじさんの家に連れ込もうとしておじさんに怒られました。

「軒下にはつないでおいていいから、家にはあげないでくれ。」

でも、怖い目に遭わせてしまったから、この子だけはと母は言ったけど、おじさんは犬嫌いの上、トイレのしつけもできていない汚れた犬を家にあげるなんてとんでもないこと。

それに、これを許可したら、もう母は好き勝手するだろう。つまり、信頼されていない。

犬に罪はないけど、おじさんおばさんの善意で家を使わせてもらう立場なのに、本当に母は自分の考えでしか動いていない。

母は、しぶしぶ軒下にその子を繋ぎました。

 

確かに室内犬で暮らしていた子が突然外で暮らすなんて、犬からすれば大変な状況だけど、でも今はそんなことすら言っていられないくらい私達はとんでもない状態で、なんてったって家がないのです。

こんな風に家を使わせてくれるいとこがいるだけでも、本当に救われていることなのです。

ホテル暮らしなんて、とてもじゃないけどできないし、(そもそも田舎なのでホテルがほとんどないのだけど)それもこれも、選択肢がないのは母がお金を全部、犬に使いこんできて貯金がゼロという有様なのも大いにあるし。

 

そして母がまた口にしたのは、「あの子が過ごせる犬小屋を買いに行きたい。犬小屋と言うよりも、もっと家っぽい立派な場所を買ってあげたい」と言いました。

自分達の家もないのに、そしてお金も全くないのに、母が言うのはそれです。

「あの子は、もらい手を探そうよ。他のオス犬は凶暴だから難しいけど、あの子だったら小型犬だしすぐに見つかるよ。」そう言うと、お前たちのところで飼ってあげてくれと言います。

正直、私には全く懐いていないし、私の元にはすでに一匹、実家から連れて行った子がいて、その子だけで今は手いっぱいです。相性も悪く、無理だと思う犬を増やした所で、母の二の舞だし、犬にとってもいいことだと思えません。そのことを私は本当に良く知っています。

断ると、じゃあ知らない人にあげるなんてできない。絶対に嫌だ。そう母は言い張りました。

今は犬どころか、自分の住む場所だってどうなるかわからないんだよ!?そう言っても、全く通じませんでした。

旦那が、「こんな火事で何もかも失くしていて、お見舞金をみんなからもらって、そのお金で立派な犬小屋を買ってたら、周りの人はどう思うと思う?」と言うと、母はさすがに黙り込みました。

 

その日はとりあえず、おじさんおばさんは同じ県内の車で1時間ほどの離れたところにある自分達の家に帰って行きました。

そしてありがたいことに、市役所から電話があり、実家から徒歩5分くらいのところにある団地の一室を臨時で貸しますとの報告がありました。

ただ、急な話なので、室内はリフォームしていなくてかなり汚れていて、電気ガス水道も、自分達で手続きしないと使えないとのことでした。

それでもなんでも、話をした数時間後にもう場所を提供してもらえるなんて、どれほどありがたいことか。寝泊まりできる屋根と部屋があるのは、本当にありがたい。

何より、そもそも実家はゴミ屋敷だったんだから、それに比べれば天国でしかない。

 

すぐに市役所へ部屋の鍵を取りに行き、団地へ向かいました。

そこは、小さい頃たくさん友達が住んでいて、毎日のように遊びに行っていた場所でした。部屋の中にも入ったことがあって、まさかここに自分が、正しくは母がだけど住むことになるとは思ってもみませんでした。

 

部屋は2部屋あるし、ちゃんとお風呂やトイレも付いているし、確かに畳はぼろぼろだし、床は汚いけど、そうじすれば明らかにあの実家よりは遥かにいいです。

 

ひとまず、まだライフラインが一切使えないし、すでに夕方でもあったので、ひとまずおじさんおばさんの別荘に戻りました。

 

夜になり早速、母は軒下に繋いだ犬をおじさんの家にあげようとしました。

あんなにおじさんと約束したのにも関わらず、黙っていればわからないからそう言いながら。

さすがにそこで、旦那が怒りました。

「お母さん、そうやって勝手にしてきて、大丈夫大丈夫って言ってやってきたことが火事を起こしたんじゃん!こんなに迷惑をみんなにかけておいて、まだ約束すら平気で破るの?それは間違っているでしょ!!」

旦那も朝から、母に気を使い励まし、すでに始まっている役所との手続き関係を率先してやってくれていてかなり疲れている状態。

何より、一番優しい言葉をかけてくれている旦那に怒られたのは、さすがに母にも響いたようでした。

 

母には、旦那という存在がおらず、怒ってくれる人がいませんでした。

いとこや私からは怒られても、そのたびに腹を立てて逆ギレし、もはやみんなお手上げ状態で何も言えない、言わないような状態になっていたのです。

だけど、今までもずっと優しく接してくれた旦那に怒られたのは、ちょっとは目を覚ますきっかけにもなったようでした。

その後、母のかたくなな心が動きました。

 

 

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